グルメ漫画戦国時代に選ぶ私的名作「ワカコ酒」
※こちらは別のSNSで書いていた記事を加筆修正したリサイクル記事です※
いやあ…
グルメ漫画、増え過ぎじゃないですか?
「ワカコ酒」もグルメ漫画が流行りだしたくらいに始まったように思いますが、群雄割拠のグルメ漫画の中でもかなり秀逸かつ安定した作品で、すごく愛読しています。めっちゃざっくりいうとOLが一人酒を呑みながらお酒のアテを楽しむ漫画です。ドラマ化もされてますね。
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食べ物の絵がめちゃくちゃ美味しそう
問答無用に美味しそう。
線画がめちゃくちゃ上手いというのもあるけど、トーンワークも完璧でとにかく絵が丁寧なのでマンガ的なのにリアリティあるのがすごいバランス。たくさん美味しいものを食べる人にしか描けないと思う。
- 味はもちろん、味以外のメニューに対する表現が秀逸
香りや食感や視覚など、味覚以外でメニューの魅力を解説してくれる。また、今夜のアテを決めるまでの過程、メニューに合わせたお酒の選び方、さらにオーダーからサーブまでのワカコの待ち方に関しても毎回趣向が凝らされており、呑んで食べることに対して焦点をあてているのに、あくまでもそれだけを楽しんでいるわけではないというか、豊かな楽しみ方を提供してくれている。
個人的には効果音が天才。
ワカコがシェンタン豆腐を自宅で焼いてるときに、豆腐が焼けたときの音で「きう〜〜…(焼けたよ)」って書いてあるとこがめちゃめちゃ好き。あとついでにコレに対してワカコが1人で発泡酒のみながら「お前というやつはもっと焼かねばならん」とか言ってるのも好き。なんなんだよ。
- ワカコの顔だけで美味しさを表現しない
これ!!!!
ワカコ酒の一番すごいところマジでコレだと思ってる。キャラクターが美味しそうな表情(俗に言うトロ顔)をすることで美味しさを表現するグルメ漫画が多い昨今、ワカコは割と表情が一貫してるし、表情を大きく崩すことはなく、食べているものの美味しさを表現している。ほんとに「食べ物が主役」なのだと感じる。それもこれも前述した食べ物の絵めちゃめちゃ美味しそうというのと、味以外の表現が豊かだから成り立つのであり、言葉選びと確かな画力に加えて、マジで食べることと飲むことが好きな人じゃないと、この域に達することができないと思っている。
ワカコはモノローグも天才なんだよな。「揚げた鶏ってずるい」みたいなこという。私もそう思っている。
作者の新久千映先生には主に肝臓をご自愛いただきながら、執筆活動に励んでいただきたく思います。